逮捕されてしまっても、弁護活動によって勾留決定の阻止や勾留の取消・執行停止がなされれば釈放されます。有罪判決の場合も、執行猶予が付されれば釈放されます。
逮捕の期間
逮捕は最大で72時間続きますが、犯人と疑う理由や逃亡・罪証隠滅の可能性がないことが判明した場合には、釈放される可能性があります。
逮捕後勾留決定前の釈放
逮捕の時間制限(72時間)が経過した場合は、すぐに釈放されるとは限らず、逮捕後に勾留された場合、起訴までに最低10日間(延長により最大20日間)留置所生活を強いられます。
勾留は、被疑者が逮捕後に検察庁で検察官から取調べを受けて、その結果検察官が勾留請求をするか否かを決め、裁判官が勾留の可否を決定します。
この際に裁判官は、被疑者の住所や逃亡・罪証隠滅のおそれの有無等を考慮します。
もっとも、弁護活動により勾留の決定を阻止することにより釈放される場合があります。
具体的には、弁護人が意見書を持参して、検察官に対し勾留請求をしないように説得することを試みます。その際には、被疑者の親族からの身元引受書の提出等により、釈放しても被疑者が逃亡する可能性がないことを訴えます。
勾留請求がなされてしまった場合は、同様に弁護人は意見書を持参して、裁判官に対し勾留決定しないように説得を試みます。その際には、勾留による長期欠勤のために被疑者の所属する会社に甚大な損害が生ずる等の事情を説明して、本件では勾留を決定することが相当でないと訴えます。
さらに、一度決定された勾留でも、弁護側の準抗告が認められれば、その決定を覆すことができます。通常の勾留決定は1人の裁判官が行いますが、準抗告による不服申立てをした場合は、3人の裁判官が勾留の可否を再度検討します。
勾留中の釈放
勾留決定がなされてしまっても、弁護側が申立てた勾留の取消請求や執行停止が認められれば、直ちに留置所から釈放されます。
勾留の取消請求は、示談の成立や身元引受人の出現等の勾留決定後の事情変化により勾留の理由・必要性がなくなった場合に認められます。
勾留の執行停止は、病による入院や葬儀への出席等の被疑者側の一定の事情等により執行を停止した方が相当と考えられる場合に認められます。
起訴後の釈放
勾留決定後、事件が起訴された場合は、原則としてその後も刑事裁判終了まで勾留生活が続きます。通常、勾留生活は数ヶ月続きますが、数年にわたることもあります。
もっとも、弁護側による保釈請求が認められれば、保釈金を納付後直ちに留置所から保釈されます。
有罪判決確定後の釈放
懲役刑の有罪判決が下された場合であっても、懲役期間が3年以下の場合であれば、執行猶予を付されて釈放される場合があります。
逆に、執行猶予なしの実刑判決が下された場合は、判決時点において保釈されていたとしても、判決宣告により保釈の効力が失われ、拘置所に連れて行かれることになります。この場合、再度保釈請求が認められない限り、判決に不服があるとして控訴を申立てた後も拘置所生活が続きます。
逮捕直後 | 逮捕の正当性を問い釈放を目指す |
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勾留前 | 検察官の勾留請求や裁判官の勾留決定を阻止 決定されても準抗告で決定を覆すよう働きかけ |
勾留中 | 勾留取消請求や執行停止を求め釈放を目指す |
起訴前 | 不起訴処分を獲得し釈放を目指す |
起訴後 | 保釈請求で保釈を目指す |
裁判中 | 無罪判決を目指す 有罪でも執行猶予付き判決による釈放を目指す |